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『建築知識』 2012年3月

2016年02月28日

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・守谷の家

・茨城県守谷市

 

外の環境を効果的に取り込む

屋外の環境と積極的にかかわりながら豊かなインテリア空間を実現したいというのは、設計者なら誰もが願っていることでしょう。それを実現するためには、ときには開口部の数や大きさをぐっと絞ると、落ち着きと開放感をバランスよく建物にもたらすことができます。「守谷の家」では、特にそのような効果的な外部の取り込み方を意識しましたので、紹介します。

敷地いっぱいに住宅が並ぶ分譲地で、南側の前面道路と裏手の遊歩道の緑をつなぐように庭と建物を配しました。前面道路から見たときに、開口部を通して住宅の向こうにある遊歩道の緑が目に入ってきます。地面から軒先までの高さは2.1m。道路との間にはコンクリートの壁があり、ダイニングに座っている人の様子は見えません。

このイメージは実は、沖縄の伊是名島にある重要文化財「銘苅家」からヒントを得て応用いたものです。軒先は低く抑えられ、簡素ですが品のあるたたずまいです。門の内側にもうけられたヒンプン(仕切り屏)は台風から家を守る役割もありますが、開放的な住宅に対して適度に目隠しをする役割も兼ねています。

開口部を「絞る」ことで魅力が増す

「守谷の家」の玄関脇、薪ストーブのある吹き抜けたリビングでは、開口部の数を意図的に限定しています。西側の壁面に設けたのは、隣の家からの視線も考慮して位置を低めにした横長の地窓です。はっきりとした理由もなく開口部をむやみに設けても、空間の魅力は高まりません。開口部の目的を明確にし、必要でないところはぐっとこらえて壁にする。そうすることで、開口部の性格はより強くなり、抑揚のついた空間になります。この地窓部分の壁は、三方の出隅を左官材で塗り回しています。開口部の枠廻りの余計な線をなるべく消し、外の緑を切り取るように見せるという目的のためです。ただし出隅の塗り回しは、物や人が当たると傷がつきやすいので、人の出入りが多い場所では避けるほうが無難です。

また、この地窓はガラス戸を壁の外側に出して左右の枠が室内からは見えないようにしています。左側に引いてあけると、網戸が出てくる仕掛けです。ガラス戸と網戸を連続させ、框を回して製作しています。

ガラス戸や網戸以外にも、障子やふすま戸など、一つの開口部に対して建具を多く設けて、季節や時間帯に応じて調節できるようにしたいと思っています。そのときに問題は建具の溝の数が多くなり、枠の見込みや戸袋の懐が大きくなっていくこと。つくるためのコストもそのぶん増えていきますから、溝を少なくして見込みを小さく抑えたいというときにこうした手法は有効です。

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