『建築知識』2011年6月号
2016年02月28日
・守谷の家
・茨城県守谷市
窓の近くには居心地のよい場所ができる
差し込む光、吹き込んでくる新鮮な空気、樹木の緑や草花の香り、町の音や人とのコミュニケーションなど、窓を介して外からやってくるものは実にさまざま。人はそれらを味わうべく、窓際で日向ぼっこや、夕涼みを楽しむ。
「窓の周りには、自然と居心地のよい場所ができる」と伊礼氏。開口部から、外部の豊かなものをどれだけ取り入れられるかによって、室内の心地よさが左右される。開口部を考えることは、外部と内部の関係を考えることだという。
伊礼氏はしばしばリビングなどのメインの開口部にフルオープンサッシを採用する。外部と内部を緩やかにつなげるため、限りなくシンプルな窓廻りに仕上げたいからだ。むろん、その大きさや位置は検討し尽くされている。「開口部は積極的な意味を見いだせる場所に設ける」というように、伊礼氏は実際に敷地に足を運び、景色がよくて視線が抜ける場所があれば、方角に関係なく、そこにメインの開口部を設けると決めて設計に入るほどである。
そして「室内だけでなく、開口部の向こう側をどのようにデザインするかも重要」とも語る。建物が密集した都市部などで、周囲に解法できない場合いは、塀と植栽を食い合わせたりして、視線を操作する。