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コンフォルト 2014年2月号

2016年02月28日

無題

 

・南与野の家

・埼玉県さいたま市

 

伝える力、つくる力

設計と施工の両社が本領を発揮した、居心地のいい家3例

要望を聞いてかたちに落とし込み、施主にプレゼンテーションする。

図面によって伝えられた情報をもとに現場が進む。

仕事の領分は違っても、設計者と施工者の到達点は同じだ。

「伝える」「つくる」が立体的に交差して、豊かな暮らしを支える空間が生まれた。

 

ミリ単位の寸法操作でメリハリのある空間を、吟味した仕上げ材でおだやかに包む

細やかなディテールの、落ち着いた住まいを設計することで定評のある伊礼智さん。自らの設計の具体的な特徴は、「作り付け家具と、木製建具を用いるケースが多い」ことだという。それらが美しくおさまってこそ、家全体が整う。そのためには、ちゃんとした図面を書くことが大事。図面は施工者と設計者をつなぐ、最も重要なコミュニケーションツールだ。造り付け家具も、箱は大工、扉は建具やつくることが多いので、ミリ単位の精密な図面を描いて双方に渡すようにしている。しっかりした図面さえあれば、現場へ通う頻度も最小限ですむ。適正な値段で室の高い住宅をつくるうえで、詳細な図面は大事な要素だと考えている。もちろん、その図面を理解する、力と技術のある施工者の存在は欠かせない。

そんな伊礼さんが信頼をおく工務店のひとつに、中山聡一郎さんが代表を務める、自然と住まい研究所がある。茨城県守谷市を拠点に、心地よい木造住宅を設計施工している。伊礼さんとのつきあいは、はや10年。ともにつくった住宅は10軒を超える。

なかでも2011年に完成した「南与野の家」は伊礼さん、中山さんにとってもとりわけ印象に残る住宅だという。

左官仕上げの外壁に、植栽の木陰が揺れる。住宅街のなかで、ひときわ趣のある佇まいだ。夫婦と今年22歳になる娘さんの3人家族が暮らす。建て主は、雑誌で見た、伊礼さんが設計した居心地のよさそうな住宅にひかれて設計を依頼したという。打ち合わせ初期のころ、手持ちの家具リストや家族構成、それにあわせた基本的な要望だけをA4用紙1枚にまとめて渡した。例えば、3人は仕事や学校といった異なる生活のペースを持っているので、それぞれの個室が欲しいことなどだ。「最初のプランが出て来たとき、最上の答えがそこにある、と思いました。まるで魔法使いみたい!プロってこういうことなんだと感激しました」と建て主。そこから始まった信頼は、いまもずっと続いている。

木造2階建て。表通りから長めのアプローチを通って玄関に入ると、階段と吹抜けのあるホールがある。各部屋をつなぐ各になるスペースだ。ここから夫の部屋、妻の部屋に分かれ、2階は娘さんの部屋、浴室、そして家族の中心となるリビング兼ダイニングがある。

プランを考えるときに、建て主の要望もさることながら、土地のポテンシャルが大事な要素だと伊礼さんはいう。土地は差し替えがきかない。条件を最大限に活かすことを考える。

ここは比較的ゆったりした敷地だったので、無理のなりプランをつくることができた。車庫をどう扱うか、町に対してどう位置づけるか、といった配置を練った。

以前の住まいを見て、たくさんの絵を飾っていること、スタンド型の照明器具で灯りをとっていることなどがわかっていたので、家全体は窓を少なくし光を抑え、天井高も低めにして落着きをだした。視線が抜けるリビングにだけ大きな開口をつくったり、トップライトをポイントで用いるなど、光の入り方にメリハリをもたせた。

苦心したのは「階段をどうするか」。吹抜けになっている玄関ホールの印象を決める重要な場所だ。ある程度のヴォリュームがあるので、見た目にも重さが出ないように抜けのある感じにしたかった。まるで浮いているような仕上がりにするために、階段下に窓を持ってきて明るさをだし、さらに木だけでは限界があるので、鉄板でフレームをつくり、踏み板を木にした。製作は埼玉県内の坂戸市にある鉄工所に発注し、工場まで出かけて立ち会った。

中山さんにとっても、鉄板の施工はこれまで機会が少なく新鮮だった。ほかにも、玄関に大谷石を敷いたことや、天井までくるむように左官仕上げにしたことなど、未体験のことが多かった。「初めてだから、という言いわけはきかないですから、慎重に準備を重ね現場にのぞみました」という。

 

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