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『住まいの手引き』2013年53号

2016年02月28日

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・南与野の家

・埼玉県さいたま市

 

町と家の間を設計する

 

品のいい端正な佇まい。

町中にありながら自然を感じさせる植栽。

周囲に溶け込みながらも、

思わず目を奪われる魅力をもつ「南与野の家」。

建築家の伊礼智さんはこの家の設計にあたり、

「町と家の間」の関係性を考えました。

出した答えは、庭を町やご近所に開いて「お裾分け」すること。

そのかわりご近所に景色を借り、風をもらう。

庭を媒介に町と家のいい関係が生まれました。

 

大人家族の家

 

古い住宅地の一角、50坪弱の比較的ゆったりした西入りの敷地。周囲は隣家に囲まれ、東南側のお屋敷の大木たちが目を引く場所です。

この家の家族構成は、印刷会社を経営するご夫婦と大学生の娘さんの3人。車やバイクが趣味でガレージが欲しいご主人、庭好きでゆったり過ごしたい奥様、写真や絵が趣味のお嬢さんのそれぞれの寝室と趣味の部屋があることがこの家の特徴です。

たくさんの観葉植物とヨーロッパの街並みが描かれた絵に囲まれた、趣味で集めたフロアスタンドの数々を散りばめた、「大人家族」のための落ち着いた室内空間となりました。

加えて、リビングの屋根を支える大きな母屋をかわすように天井をうねらせ、天井を壁と同じシラス塗りとしたことで、光の反射具合や音の反響が和らぎ、まるでヨーロッパの修道院のよう…。

玄関から庭へと続く大谷石敷きの通り土間は、住まいの各部屋をゆるやかに分断し、外部のような内部空間にスチールの軽やかな階段が浮かんでいます。

「この家はロマンチック」だと語る奥様の言葉が、この住まいの空気を表しているように思います。

 

町とつながる中庭

 

この家は敷地に対して建物をL型に配し、東南の庭を囲み、さらに借景の素晴らしい緑を取り込むことにしました。中庭は完結させず、通風を考えるとどこかへ抜けていた方がいい。自分たちだけの囲われた庭ではなくて、町やご近所に開き、「お裾分け」することでお互いが良くなるあり方を探りたかったのです。

プランが固まったところで、かねてからいつか一緒に仕事をしたいと願っていた造園家の荻野寿也さんに庭づくりを依頼しました。

荻野さんは単に造園を施すだけでなく、建築に対してより良くなるような要望を出してくる。たとえば東南のコンクリートの擁壁は施工直前になって「風を招き入れたいから穴あきブロックにできないか?」。また「植栽への照明はアッパーライトでなく、上から当てる照明に変更して欲しい」など、いくつかの相談を受けました。

材料の手配が済んでいるので穴あきブロックは無理でしたが、擁壁に大きさと高さを変えた穴を空けて対応。お隣から風をもらう代わりに、庭の景色をお裾分けするような形となりました。

 

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